この記事では、私が通ったマランゴーニ学院の、Fashion Styling & Photographyコースの授業科目をを紹介します。
私がマランゴーニへの留学を検討していた時、授業どのようなことが学べるのか、マランゴーニのホームページ以外では情報がほとんどありませんでした。ブログや口コミも少なく、自分の学びたいことと合っているのかとても不安でした。(そして私自身、今までファッションを勉強したこともなく、ファッション留学をした友達や知り合いもいませんでした!)
そこで、これからファッション留学を考えている方や、「スタイリングって何を勉強するの?」と気になっている方に、この記事が少しでも役立てば嬉しいです!
(※授業科目や内容は、年度・担当する先生によって大きく異なることが考えられます。私は2018年度に、1年間のIntensive courseを受講しました。)
Vol.2はこちらから
Term 1 (1学期)
Term 1では以下の5科目を学びました。
- Styling
- Photography
- Style Analysis
- Graphic Design
- Art, Dress, and Fashion Culture
Style Analysis スタイル・アナリシス
Term 1のなかで、特に私が好きだった科目が「Style Analysis」。
Style Analysisでは、数あるファッションスタイルを年代ごとに分けて勉強していきます。ファッションスタイルは60sのヒッピー、80sのディスコスタイル、90sのミニマリズムなど、10年ごとに区切られることが多いので、1回の授業で約10年分のスタイルを学んでいきます。授業は講義形式で、先生が写真いっぱいのパワーポイントを使って教えてくれます。
授業では、その年代に代表されるデザイナーや、ファッションスタイル、ファッションアイテム、モデル、時代背景や歴史、メイクやヘアスタイルについて学びます。さらにその時代の建築や家具について勉強することもあります。
例えば、60年代に行われたNASAの「アポロ計画」。人類が初めて月面上陸に成功したことが、ファッション界でも影響があり、スペース・ルックとして、未来の世界にインスパイアされた洋服が流行したり、雑誌にもスペースシャトルなどからインスパイアされた写真が並びました。(こうやって考えると、ファッションは時に、ニュースや建築からも影響を受けてきたのが分かって面白いです!)
そして、一通りスタイルについて理解を深めた後に、現在のファッション雑誌の中で、そのスタイルがどのように解釈されているのかを見ていきます。つまり、今のファッションマガジンの中から、その時代にインスパイアされている写真を見ていきます。ファッション紙には常に最新のスタイルを見ることができますが、実はそれらは過去のスタイルからインスピレーションを受けているということが、よく分かります!
Style Analysisの最終課題(Exam)は、授業で学んだスタイルまたは時代を3つ選び、
- 歴史的写真(Historical images)のコラージュ
- 現在の写真(Modern interpretation)のコラージュ(①ファッション②メイクアップ・ヘア ③アクセサリーと3つに分けて)
でした
私が選んだスタイルは、「50s」「Masculine」「Darkness」です。
これがそのコラージュの一部です。
Styling スタイリング
どんな授業?
Stylingの授業は2人の先生が担当で、1週間に2コマありました。先生それぞれで授業内容は完全に分かれていて、
1人の先生はファッションのベーシックアイテムについて。もう1人の先生はStill Lifeについての授業でした。どちらも講義形式でした。
ベーシックアイテムとは?
まず、1人目の先生の授業のベーシックアイテムについて。ベーシックアイテムとは、ワードローブに欠かせないとされるいくつかのアイテムのことです。今日のファッションのDNAでもあるとされるこれらの定番アイテムは以前はランウェイやファッション雑誌では全く紹介されることはありませんでした。その定番アイテムとなっている7つのアイテムについての歴史と、そのアイテムたちがどのようにファッション誌やランウェイに登場するようになったのかをこの授業では学んでいきます。
ベーシックアイテムは、白シャツ、デニム、タートルネック、ブラックジャケット、トレンチコート、テーラード、リトル・ブラック・ドレスです。これらのアイテムは、ファッション誌やランウェイのコレクションなどには登場することのない普段着として考えられていました!
この授業は、私が好きな授業の一つでもありました!毎回ひとつのベーシックアイテムにフォーカスし、そのアイテムにまつわる映画や、それを身につけたことで有名なファッションアイコン、定番になっていった歴史的背景を知ることができたからです。
Examは?
学期末のExamでは、2つの課題が出されました。
1つは、ベーシックアイテムを雑誌、ランウェイから探し集めて、コラージュを作ること。2つめは、そのベーシックアイテムを使用して、ルック(コーディネート)を100作ること。ひとつのベーシックアイテムにつき 100ルックだったので、合計700ルックの作成でした。
2つ目の課題の、100ルック作ることに関しては、私が知っている限りでは(おそらく)誰も達成できなかったと思います。Examの準備期間が2週間、この限られた時間の中で、他の科目のExamの準備との同時進行で合計700ルックを製作するのは、かなりハードでした。
これがExamで提出したものの一部です。
Still lifeとは?
2人目の先生が主に教えてくれたのが、Still lifeについて。Still lifeとは、写真やアートのジャンルの1つで、動かない「モノ」にフォーカスして撮影したり描いたりした作品。ファッション雑誌ではよく、モデルを使用せずに、アクセサリーや化粧品などを撮影したものがあります。
授業は、まず初めにstill lifeの歴史を知るところからスタート。17世紀のオランダ絵画からスタートしたstill lifeペインティングは、フルーツバスケットを写実的に描いたカラヴァッジョ、テーブルの上に置かれたトロピカルなフルーツを描いたゴーギャン、ひまわりでおなじみの花を描いたゴッホ、瓶などを落ち着いた色合いで描いたモランディなど。
ファッションフォトグラフィとしてのStill lifeは、マン・レイやアーヴィング・ペンなどの写真家が歴史的に有名。アーヴィング・ペンはクリニークの写真も良く撮りました。また、vogueの表紙がモデルではなく、アーヴィング・ペンのStill lifeという号もいくつかありました。(2020年のVogue Americaの表紙にも、アーヴィング・ペンの花のstill lifeが使われています!)
現在のファッション雑誌を覗いてみると、洋服、アクセサリー、靴、コスメ、香水など、本当にたくさんのStill lifeを見つけることができます。Still lifeといっても様々で、白いバックグラウンドに並べただけのシンプルなものもあれば、プロップを使用して、世界観を持たせたり。モデルの手や足を使って靴や指輪などを見せることもあります。
Examは?
Still life のExamは、実際にstill lifeの撮影と、その撮影に向けて作成したVisual researchとmood boardの提出でした。still lifeのテーマは、ある空想上の人物を選び、その人のアイデンティティー(それはどんな人か、男の人?それとも女の人?年齢は?何をしている人?など)に基づいてストーリーを作ることが求められました。それに基づいて、ひとつオブジェクトを決め、その撮影をしました。
撮影は、学校のスタジオで行いました。撮影に使用したカメラは、カメラマンの先生に貸してもらったり、カメラを持っている人は自分のカメラで撮影していました。
私が実際に撮影したイメージがこれです。